デジタル職人

第一話 天然物オーバークロック獲れました




この話は、悲劇です。
2012年の2月末、一本の電話が入りました。
修理したパソコンの返却に浦添市に行き、返却を無事終えて、丁度本拠地の南城市に帰ろうとした時です。
何と同じ浦添市からの修理依頼。
何と効率の良い事か、返却した住所から2km程しか離れいいません。お得感を感じつつ。
直ぐに、ご依頼主の待つ、とある高層マンションへ向かいます。
迎えてくれたのは、品の良さそうな、綺麗な奥様です。
これまた、お得感。
本当に綺麗な方です。例えるなら、長身で化粧が上手なベテランのシュチュワデスといった感じ。
その圧倒的な美しさに威圧されながら、コンピュータの状況を聞きます。
コンピュータが使用中突然電源が落ちるとの事。又、フリーズ等を繰り返しとにかく調子が悪い。
私、かなり長くコンピュータと接しております。
この場合は、熱暴走の可能性が大。
「綺麗に掃除をして組み上げれば、直るな。難易度の低いコンピュータの整備。」と思いつつコンピュータを持ち帰ります。
コンピュータは、SONY VAIO 一体型 PCV-W102 少し古いコンピュータてす。



直った場合、使い易くなる様にパワーアップの依頼も客室乗務員風の奥様から頂いております。
持ち帰り早速分解。
これから長い整備の時間が始まりました。
コンピュータの内部には、ホコリは、それ程付いていません。
エアコンプレッサーの圧縮空気で、コンピュータの中を徹底的に綺麗にします。
その後で、CPUグリスを塗り直し、メモリーを抜き差しして一回目の起動。
ダメです。しばらく動かしているとフリーズします。
なんとなく、ハードデイスクが悪いのでは、と思い。ハードディスクを外して他のパソコンでエラーチェック、異常なし。念の為、スキャンディスクとデフラグを掛けます。これだけでかなりの時間が掛かります。
再度、ハードディスクを入れて起動。
今度は少し良くなりましたが、フリーズします。
分解して、事細かに調べ上げます。
CPUファンの動きを見ていて気付きました。風向きが逆。
CPUファンは、通常上からCPUに向かって風が吹く様に取り付けます。
このパソコンCPU側から上に向けて風が吹いているのです。
「もう、ソニーの工員さん、勘弁してよ。」と思いつつ正常に戻します。
だめです。フリーズします。ソニーの工員さん「ごめんなさい。」一体型パソコンは、形状が特殊の為、通常と逆かも知れません。
これは、後々にも調べておりませんので、どちらが正しいかは、闇の中です。知っている人教えて下さい。
ここで、私のエンジニアー魂に火が付きました。
徹底的に冷却あるのみ。
とにかく風通しの邪魔になる物を徹底的に撤去。
アナログテレビチュナー等、地レジの世の中では不要。撤去。
ノイズ防止用のスチールのカバーが背面全体に被さっています。
ファンの所だけ格子になり空気が抜ける様になっておりますが、ニッパーで切って風の抵抗を減らします。
この作業中、このスチールのカバーは要らんなと思い。全面撤去。
通常のデスクトップパソコンにこの様なスチールカバーは付いていなというのが撤去の根拠。
かなり、中がすっきりしました。これは効きそうです。
しかも、外側のプラスチックのカバーは加工していないので、外からの見た目はそのままです。
これで、起動。
うまくいきました。フリーズしません。満足出来る結果です。しかも、サクサクと調子がいいです。なぜか。
と思いましたが、深く考えずにご依頼のパワーアップをします。
Celeron 1.6Ghz → Pentium4 2.2Ghzに載せ替え。
メモリー 256MB → 1GBに増設。
こでで、WindowsXPのレジストリを調整すれば、まだまだ使えるパソコンです。
早速、パワーアップし起動。良い感じです。サクサク動きます。
性能以上は出てるなと思いつつ、最終チェックのベンチマークテストをします。
Crstal Mark を起動。ベンチマークが最後まで行けば、熱対策も一応成功となります。
ここまで来るのにかなりの時間を使いました。
ベンチマークテストをスタート。
最後まで行きました。ベンチマークテストはかなりの負荷が掛かるので、不調のコンピュータはベンチマークの最後まで行けません。
結果を眺めて、目を見張りました。
成績が良すぎる。なんで。
Crstal Markは、とても良く出来たベンチマークソフトで、コンピュータの構成を事細かに表示できます。
CPUの項目を見てビックリしました。
2.9GHzでCPU動いてます。FSBが上がってます。



33%のオーバークロックです。
意味が解りません。自作用のマザーボードでも無いのに、オーパークロックとは。
念の為、BIOS画面を出して確認します。メーカー製パソコンらしく、大した設定は出来ません。勿論、FSBの調整等もっての他です。



昔のマザーボードに様にジャンパーピンでオーバクロックしてるのだろか?
との思いも、頭をよぎります。
CMOSクリアーをかけて、デフォルトに戻せばその謎も解けますが、もったいない気もします。
せっかく33%も性能アップ、おそらくCMOSクリアーをかければ、二度と再現出来ないでしょう。
しかし、アップしすぎですね。今まで熱暴走の謎も解けました。
今は、正常に動作しておりますが、後々ホコリ等が付いて冷却が弱まれば、また不調になるでしょう。ハードディスクも早く痛みます。
CMOSクリアーをかけて正常に戻しました。
正常に戻ったので、ジャンパーピンの設定でも無いことも分かりました。
この修理時間が掛かりました。料金は一緒です。
コンピュータの修理は、見立て違いをするとドツボに嵌ります。
災害でも、コンピュータ修理でも想定を大きく取ると被害を最小限に留める事が出来るのでしょうね。
これも想定外ですが、この様なページを作るのを想定していなかった為、写真を少ししか撮りませんでした。
今度から、面白そうな展開になる修理は沢山写真を撮ります。

後で、デジタル職人のハードウェア専門に聞きました。
マザーボードかCPUでどこかショートしてBIOSが間違った設定をしたのではとの事です。

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